フィトンチッド応用講座 (4)

アレルギーとフィトンチッド


 テレビで朝のニュース番組などを観ていると、最近では、天気予報に続いて
『花粉情報』を流していることに気づかれると思います。毎朝欠かさずにご覧に
なって、何らかの予防を講じている方も多いかもしれません。
 花粉症などの『アレルギー』は、大袈裟に言えば『国民病』と呼んでもおかしく
ないほど、多くの人を悩ませています。
 ここでは『アレルギー』について考えながら、フィトンチッドに期待される役割を
探ってみましょう。





アレルギーとは?


 人間のからだには、自己防衛のためのさまざまな機能が備わっています。
たとえば体内に細菌やウィルスが侵入してくると、それらを退治する役目を持った
『抗体』を大急ぎで作り、『リンパ球』を増加させることによって、病気を防ぎます。
そして一度抗体ができてしまえば、同じ細菌やウィルスが再び侵入してきても、
簡単に退治してくれるのです。これが『免疫機能』です。
 『麻疹(はしか)』に一度かかると、二度とかかりませんね。この現象をよく『免疫が
できた』と言います。また、予防接種は人為的な免疫方法です。
 このように免疫とは重要な『生体防御機能』なのです。
 話がここで終われば、アレルギーに悩まされる人はいなくなります。
 実はアレルギーは、この免疫機能が引き起こすものなのです。
 アレルギーの原因となる物質を『抗原(アレルゲン)』と呼びますが、この抗原に対
して過剰に反応することが『アレルギー』の仕組みです。たとえば食物アレルギーで
下痢をしたり、花粉を吸い込むとくしゃみが止まらなくなったりするのは、抗原を体内
から早く追い出そうとする働きが度を過ぎた結果なのです。そしてこれは免疫機能に
よってもたらされるわけです。
 免疫機能はからだにとってなくてはならない大切なものです。そして普通通りに働い
てくれれば、何も問題は起こりません。ところが、とんでもないオーバーアクションを
する輩がいるのです。


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過剰反応のメカニズム


 抗体のなかには『免疫グロブリンE』と呼ばれるものがあります。もちろん抗原を
退治する働きを持っています。問題は『マスト細胞』と結合する特徴を持っていること
なのです。つまり過剰反応のきっかけを作ってしまうのです。
 マスト細胞は皮膚や粘膜にたくさん存在するもので、臓器や神経に命令を与える
物質『ヒスタミン』を放出する細胞です。過剰反応の煽動役です。
 抗原が侵入してくると、抗体の一種である免疫グロブリンEが作られます。
免疫グロブリンEはマスト細胞と結合します。マスト細胞と結合した免疫グロブリンE
は抗原を捕まえます。すると、マスト細胞はヒスタミンを放出し、臓器や神経に抗原を
追い出す働きをするように命令を与えます。命令を受けた臓器や神経は、たとえば
粘液腺ならば分泌を高めます。分泌を高めた結果は『鼻水が止まらない』などの
症状になります。
 これがおおざっぱな過剰反応の仕組みです。もとはと言えば、からだを護る働きが
大袈裟な反応でアレルギーを引き起こすわけです。


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代表的なアレルギー症状


 昔はアレルギーと言ったら食物アレルギーが一般的で、卵、牛乳、大豆が三大
アレルゲンとされていました。最近では、花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息が
代表的なアレルギー症状と言えそうです。
 これらは今さら説明する必要がないほどよく知られていますが、その原因となると
簡単には特定できないのが現状ではないでしょうか。
 アレルギーはさまざまな要因が絡み合って引き起こされるものなのです。


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アレルギーの犯人は?


 花粉症は、『スギ』が犯人扱いされています。なかには、国土にスギばかり植林した
林業政策の副産物だとする意見もあるようです。もちろんスギの花粉が花粉症の
原因です。しかし、この症状が都市部に集中して見られることや、森林で働く人の
花粉症例が少ないことから、他の原因も探られました。その結果、花粉と他の有機
化合物が反応することでアレルゲンとなることが指摘されています。ディーゼルエン
ジンの排気ガスと花粉が結合することが原因とする説もあるようです。
 アトピー性皮膚炎も原因がなかなか特定できないようです。皮膚の脂肪分の異常と
か、肌着が皮膚に与える刺激とか、考えられる原因はさまざまです。
 『ダニ』も大きく関与しているようです。これはアトピー性皮膚炎の症状を持つ人の
血液中に、ダニに対する免疫グロブリンEに属する抗体が見られることが多いことか
ら、推測されています。
 また気管支喘息も、体質、ストレス、大気汚染などが原因として挙げられますが、
ダニを原因とするものが半分以上と言われています。
 複合要因によって起こされるのがアレルギー症状ですが、最近ではダニを原因と
するものがどうも多いように思えます。


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アレルギーの治療法


 最も基本的なアレルギーに対する処方箋は、アレルゲンを突き止めてそれに近寄
らないことです。しかし、『卵を食べるとじんま疹が出る』といったことなら多少簡単で
すが、他の症状ではさまざまな要因が絡み合っているために特定すること自体が
難しい面もあります。
 アレルゲンを少しずつ長期間にわたって注射する方法があります。
 これは『脱感作法』と呼ばれるもので、免疫グロブリンEとアレルゲンが反応しない
ようにするものです。
 『抗ヒスタミン薬』や『副腎皮質ステロイド剤』を用いる治療もあります。
 しかし、ステロイド剤は、免疫力を低下させたり、白内障や糖尿病を起こしたり、と
いった副作用も多く、難しい問題があるようです。


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ダニとフィトンチッド


 アレルギーの原因に多く挙げられるダニに対して、実はフィトンチッドがすぐれた
『繁殖抑制効果』を持っているのです。
 最近ダニが家屋に多く繁殖する理由は、住宅構造の変化によるところが大きいと
言えるでしょう。気密性が高く高温多湿の家屋は、ダニにとって天国みたいなもので
す。絨毯(カーペット)もダニは大好きです。
 ダニから身を護るには殺してしまうのが一番、といった誤解が一部にあるようです
が、アレルギーの原因となるのはダニの死骸や糞を吸い込むことにありますから、
殺ダニ剤の使用が万能ではありません。そもそもダニと人間の生活環境はほぼ同じ
です。ダニが住めないところには人間も住めません。さらに、強力な合成殺ダニ剤を
用いた場合、その毒性も心配されます。
 基本的なダニ対策は『換気』と『掃除』にありますが、生活様式の変化から、それも
ままならぬのが実情かもしれません。
 そこで頼りになるのがフィトンチッドなのです。
 ヒノキやスギの木の粉のなかでダニを飼育すると繁殖が抑えられ、精油を抽出後
の木の粉では効果が無いことがわかっています。また、精油を含まないおが屑に
青森ヒバ材油を加えダニの繁殖を観察した結果、強い抑制効果が確認されていま
す。さらに、ダニに悩んでいる家庭の床を畳やカーペットからナラ材主体の木の床に
改装した結果、ダニ数が減少し、かゆみなどの症状も無くなったことが明らかにされ
たのです。
 フィトンチッドがアレルギーを直すとは決して言いませんが、アレルギーの大きな
原因であるダニの繁殖を抑えることを見逃す手はないでしょう。


* 参考文献

  • ここで提供している情報は、当センター発行の小冊子『やさしいフィトンチッドの
    はなし』の第3章部分から抜粋して掲載しております。
    参考文献については、下記をご覧ください。
小冊子『やさしいフィトンチッドのはなし』の参考文献


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